「我々はなぜ生まれ、そして何に生かされているのだろうか」呉線の車窓を流れる景色をぼんやりと見つめながら、神峰(かみね)良樹はそんなことを考えていた。海沿いの高台にある無人駅に停車すると、小さな明かりを灯しはじめた瀬戸内海の島々が、茜色に染まりながら夕闇に包まれようとしている。ホームにあるほころびはじめた桜の花びらが、眩しい夕日に透かされていた。二〇一九年三月、神峰は、翌日から呉市で開催される宇宙…
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