俳句・短歌 短歌 自由律 2021.01.09 句集「曼珠沙華」より三句 句集 曼珠沙華 【第24回】 中津 篤明 「冬花火 亡び 行くもの 美しく」 儚く妖しくきらめく生と死、その刹那を自由律で詠う。 みずみずしさと退廃をあわせ持つ、自由律で生み出される188句。 86歳の著者が人生の集大成として編んだ渾身の俳句集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 爭(あらそ)わず 夕焼けを ゆく 男の背 晩夏光 消えそう 父の 車椅子 鞄の中身 老い行く ばかり 冬の蝶
小説 『約束のアンブレラ』 【第3回】 由野 寿和 なぜこの場所にいたのか…ずぶ濡れだった少女の靴についた泥の一部は乾きかけていた 「遺体は三十代半ばの女性。薬指には婚約指輪だ。三ヶ月前の九月三十日に失踪した久原真波(くはらまなみ)に酷似している」「にしても失踪届が親族から出されたのは三ヶ月も前です。遺体の腐敗は進んでいるのではありませんか?」「理由は三つある。あの傾斜は地面から二メートル近い場所にあった。地中深くに埋めることで微生物などの影響を軽減し腐敗が遅れた。そして低温環境だ。冬という季節に加えて、この藤山は高山地帯と…
小説 『ふたりの渚』 【第3回】 伊坂 勝幸 突然の同窓会の誘い……彼氏を見つけるラストチャンスと揺れる心 渥美(あつみ)半島には伊良湖(いらご)岬灯台。伊豆(いず)半島には石廊埼(いろうさき)灯台がある。さらに、瀬戸内海の離島の中にも貴重な灯台があるらしい。ネット検索で地図や写真を見ていると、今すぐにでも行きたいという衝動(しょうどう)がわいてくる。自分たちの灯台めぐりは有名観光地とセットにすること・・・・・・・・・・・・・・……それを改めて意識すると、灯台以外にも訪問したい場所が山ほどある。これ以…