俳句・短歌 短歌 自由律 2021.03.06 句集「曼珠沙華」より三句 句集 曼珠沙華 【第31回】 中津 篤明 「冬花火 亡び 行くもの 美しく」 儚く妖しくきらめく生と死、その刹那を自由律で詠う。 みずみずしさと退廃をあわせ持つ、自由律で生み出される188句。 86歳の著者が人生の集大成として編んだ渾身の俳句集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 別れゆく 斧に さみだれ 降り続く 稲妻や 遠離の 母の 地に生まれ ひび割れし 八月 母を 砂に積む
エッセイ 『ボクは、笑顔でできている ~多くの人に支えられて、白血病と闘うことができました~[注目連載ピックアップ]』 【第2回】 向井 健一郎 「病名は急性リンパ性白血病です」"急性リンパ性白血病"は約10万人に1人の確率で発症する。なぜ私が、と妻と二人で泣いた。 翌日の朝に、もう一度血液検査とエコー検査などを行いました。消化器内科の医師からは、「肝臓や脾臓は少し腫れているが、これが痛みの原因とは考えにくいです。最初のCTスキャンの画像を見ると、リンパ腺がいくつか腫れているところが見られたので、午後からは血液内科で診てもらいましょう」という話がなされました。私は「血液内科」とは初めて聞く名前だったので、これは何の病気だろうと思っていました。午後、病室が血液…
小説 『二十世紀のおとぎ話』 【第2回】 オー・クンケー 「大切なものを、この戦争から守ることができなかった。そこで私は…」王さまが五人の顔を一人ずつ見つめ、続けた言葉は… 【前回の記事を読む】先の大戦で命を落とした小さな王国の皇太子と皇太子妃――しかし、彼らには5人の子供がいた先の大きな戦争が終わって、一年が過ぎたある春の日、エドワード国王は、三人の王子と二人の王女を王宮の中心にある宮殿(きゅうでん)の大広間(おおひろま)に集めました。五人は、宮殿の広いパティオ(中庭(なかにわ) )に沿(そ)って造(つく)られた、大理石(だいりせき)の太い柱が続く長い回廊(かいろ…