俳句・短歌 短歌 自由律 2021.02.27 句集「曼珠沙華」より三句 句集 曼珠沙華 【第30回】 中津 篤明 「冬花火 亡び 行くもの 美しく」 儚く妖しくきらめく生と死、その刹那を自由律で詠う。 みずみずしさと退廃をあわせ持つ、自由律で生み出される188句。 86歳の著者が人生の集大成として編んだ渾身の俳句集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 しろがねの 真冬 というか 列島列車 雪焼けの 円空仏や 父よ 母よ 弥陀の子と 思えど 哀し 雪の旅
ビジネス 『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?[注目連載ピックアップ]』 【第8回】 中山 てつや,中山 てつや 同期で「えい、やー!」と給料明細を見せ合うと、飛び抜けて多い人がいた。中身を見ると、「家族手当」が追加されており、その額は... 【前回の記事を読む】友人は「人事は見ているから」と言ったが、本社からの異動は、実質的には片道切符。めったなことでは本社に戻れない仕組みになっていた。 古き良き年功序列は根強い人事評価の仕組みを、自分のためだけに、ひとりで作り上げることはできません。評価制度は、入った会社にすでに存在しているもので、その枠の中で工夫を凝らしながら、上手に泳ぐ術すべを、身に着けていくことになります。世の中には、いろい…
小説 『ディワータの島』 【新連載】 しのぶひろ フィリピンに訪れていた二人の日本人。蒸し暑さ、独特な匂い、慣れない異郷の地で彼らは"ある島"に向かっていた バタンガス[1]の港には昼前に着いたが、プエルトガレラ[2]へ渡る船は今しがた出たばかりのようだ。客はみな、船着き場の薄暗い待合室で、次の便まで二時間近く待たなければならなかった。待合室の中は、東南アジアの町に特有の、あの焦げた油に酢を混ぜたような匂いが充満していた。蒸し暑くて淀んだ空気の中で、飲み物や菓子、パン、原色の果物類、匂いの強い串焼きの肉などを売る店が、ところ狭しと軒を連ねていた。通り…