俳句・短歌 短歌 自由律 2021.02.20 句集「曼珠沙華」より三句 句集 曼珠沙華 【第29回】 中津 篤明 「冬花火 亡び 行くもの 美しく」 儚く妖しくきらめく生と死、その刹那を自由律で詠う。 みずみずしさと退廃をあわせ持つ、自由律で生み出される188句。 86歳の著者が人生の集大成として編んだ渾身の俳句集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 老いて 盲(めし)いて 夜は恩赦の 青葉木菟(あおばずく) さらさらと 罪科が 見えて 父なる河 遠鐘や 近ずく 冬の 列島列車
小説 『アイアムハウス』 【第8回】 由野 寿和 「助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて!」オンラインゲームの最中に背後から襲われた長男 次に深瀬はパソコンのディスプレイに目をやった。デスクトップパソコンは本体が光っており、画面にはいくつものウィンドウが表示されている。「この画面は犯行当時のままか?」「そのようです」「俺にはわからんが、何の表示だ?」「これはCHAO(チャオ)とかいう、人気のオンラインゲームだそうです。オンライン上でチャットをしながら戦うサバイバルゲームで、世界中でプレイされています。どうやら世界大会も開催されてい…
小説 『今は令和と申すのか』 【第4回】 おおいわ 美紅 出征のときに持っていったのであろう、日の丸にたくさんの名前が書かれた布…遺品整理中に見つけて、手が止まった。 こんな夜中にひとり、なんて馬鹿げたことを言っているのだろう……私は。いつもの変人ぶり丸出しで、でもどこかで、信長さまは叶えてくれるかもしれないという微かな期待を持っていたように思う。部屋はすっかりと冷えてきた。結迦は布団を頭までまるっとかけ、仰向けで臥床したのであった。どのくらいの時間が経っただろうか。結迦の身体は、少し横向きになっていたかもしれなかった。ふと、瞼にふっと風を感じて、結迦は眠りか…