俳句・短歌 短歌 自由律 2020.08.01 句集「曼珠沙華」より三句 句集 曼珠沙華 【第1回】 中津 篤明 「冬花火 亡び 行くもの 美しく」 儚く妖しくきらめく生と死、その刹那を自由律で詠う。 みずみずしさと退廃をあわせ持つ、自由律で生み出される188句。 86歳の著者が人生の集大成として編んだ渾身の俳句集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 次回の記事へ 最新 曼珠沙華 妖しき華燭 いま 始まる 雪の 夜更けの 拝火の弥撒に 泣き崩れ 人形の 鼓動 聴きいる 雪の夜
小説 『「本当の自分」殺人事件[注目連載ピックアップ]』 【第10回】 水木 三甫 ホテルの入口、ためらいは一瞬で、後はただ身を任せていれば良かった。夫と同じことをしているだけだ。 【前回の記事を読む】硬直する体に構わず、若い桃のような頬に唇を当てる。首筋からさらに下へ、新鮮な匂い。しがみついていた彼女の腕の力は抜け…光彦から急な出張が入って帰れないという連絡が入った。淳美は光彦があかねと会うことを確信した。光彦のために自分は尽くしてきたつもりだ。それを裏切ったのは光彦だ。あかねの存在も淳美にとっては大きなストレスになっていた。いつもあかねに操られている自分にうんざりしてい…
小説 『愛[注目連載ピックアップ]』 【第2回】 高見 純代 あの人が死んだ! 私は体がガクガクとふるえだした。送られてきた包みの中身は分かっていた。だが、恐くてあけられず… 【前回の記事を読む】50歳で身寄りのない私。昔は母に似て美人だとよく言われたが、美人は嫉妬され、偏見で見られ、足を引っぱられ…私の背筋にゾクッと冷たいものが走り、体がガクガクとふるえだした。亡くなった!? あの人が死んだ!……横浜のホスピスで? ニューヨークじゃなくて、どうして!?私はその包みの中身がわかった。だが、恐くてあけられなかった。私の頭の中の時計が、ギューギューと逆回りにネジを巻きは…