俳句・短歌 短歌 自由律 2020.08.01 句集「曼珠沙華」より三句 句集 曼珠沙華 【第1回】 中津 篤明 「冬花火 亡び 行くもの 美しく」 儚く妖しくきらめく生と死、その刹那を自由律で詠う。 みずみずしさと退廃をあわせ持つ、自由律で生み出される188句。 86歳の著者が人生の集大成として編んだ渾身の俳句集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 次回の記事へ 最新 曼珠沙華 妖しき華燭 いま 始まる 雪の 夜更けの 拝火の弥撒に 泣き崩れ 人形の 鼓動 聴きいる 雪の夜
エッセイ 『ボクは、笑顔でできている ~多くの人に支えられて、白血病と闘うことができました~[注目連載ピックアップ]』 【第2回】 向井 健一郎 「病名は急性リンパ性白血病です」"急性リンパ性白血病"は約10万人に1人の確率で発症する。なぜ私が、と妻と二人で泣いた。 翌日の朝に、もう一度血液検査とエコー検査などを行いました。消化器内科の医師からは、「肝臓や脾臓は少し腫れているが、これが痛みの原因とは考えにくいです。最初のCTスキャンの画像を見ると、リンパ腺がいくつか腫れているところが見られたので、午後からは血液内科で診てもらいましょう」という話がなされました。私は「血液内科」とは初めて聞く名前だったので、これは何の病気だろうと思っていました。午後、病室が血液…
小説 『29歳、右折の週』 【第15回】 言田 みさこ 彼に耳元で「好きだよ」とささやかれた。帰ろうとする彼をなんとか引きとめようと甘え声で話しかけ… 【前回の記事を読む】女友達と旅行する気分で彼の実家へ――異性として意識していなかったが、隣り合わせの和室をあてがわれ…山川の郷里に同行した翌月、春のパーティー開催の打ち合わせのため、サークルのW先生の家に会員が集まった。広間にテーブルを並べ、予算を立てたり、仕事の割り振りを決めたりしたあと、持ち寄ったごちそうを食べていい気分になり、さあ、これからいろいろ話をして打ち解けよう、という時間だった。用…