俳句・短歌 短歌 自由律 2020.08.01 句集「曼珠沙華」より三句 句集 曼珠沙華 【第1回】 中津 篤明 「冬花火 亡び 行くもの 美しく」 儚く妖しくきらめく生と死、その刹那を自由律で詠う。 みずみずしさと退廃をあわせ持つ、自由律で生み出される188句。 86歳の著者が人生の集大成として編んだ渾身の俳句集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 次回の記事へ 最新 曼珠沙華 妖しき華燭 いま 始まる 雪の 夜更けの 拝火の弥撒に 泣き崩れ 人形の 鼓動 聴きいる 雪の夜
小説 『アイアムハウス』 【新連載】 由野 寿和 静岡県一家三人殺害事件発生。その家はまるで息をするかのように、いや怒っているかのように、大きく立ちはだかり悠然としていた 午前十一時。サイレンを鳴らさず、車両は静岡県藤市十燈荘(じゅっとうそう)に到着した。静岡中央市にある県警本部から十燈荘までは、藤湖をぐるっと大回りして藤市経由でトンネルを通り、小山を登ることになる。藤湖を見下ろす高級住宅街、十燈荘は、土曜の昼だが活気はない。既に外部への交通規制が敷かれているとはいえ、不気味に静まり返っている。ここで殺人事件があったことを、住民達が知っている気配はなかった。その家…
小説 『司法崩壊! ~刑務所が足りない!起訴できない!~』 【第11回】 利根川 尊徳 奨学金を短期間に返済するため任期制の自衛官に応募する若者が増加。自衛隊の任期制と期間工を交互にやっているという兵も!? 「なるほど、それなら金を貯めようと思えば貯められるよな。自衛隊の最大の魅力は、衣食住に基本的に金が掛からないからすこぶる可処分所得がいいって訳だ。その為、奥さんを働かせなくても十分世間一般的な生活水準を保てるという訳だ」と須崎が少し羨ましそうに言うと「その通りだ。四年間の任期制を務め上げるまでに一、〇〇〇万円貯め込んだ奴が何人もいたよ」と里村が答えた。「今は、借りている奨学金を返済する目的で任期…