俳句・短歌 短歌 自由律 2021.01.16 句集「曼珠沙華」より三句 句集 曼珠沙華 【第25回】 中津 篤明 「冬花火 亡び 行くもの 美しく」 儚く妖しくきらめく生と死、その刹那を自由律で詠う。 みずみずしさと退廃をあわせ持つ、自由律で生み出される188句。 86歳の著者が人生の集大成として編んだ渾身の俳句集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 色褪せし 花野に 病むは 老いたる羊 高原の 春 寒ければ 馬よ眠れ 月があやつる 暗き 影絵の 老いたる父よ
小説 『「本当の自分」殺人事件[注目連載ピックアップ]』 【第10回】 水木 三甫 ホテルの入口、ためらいは一瞬で、後はただ身を任せていれば良かった。夫と同じことをしているだけだ。 【前回の記事を読む】硬直する体に構わず、若い桃のような頬に唇を当てる。首筋からさらに下へ、新鮮な匂い。しがみついていた彼女の腕の力は抜け…光彦から急な出張が入って帰れないという連絡が入った。淳美は光彦があかねと会うことを確信した。光彦のために自分は尽くしてきたつもりだ。それを裏切ったのは光彦だ。あかねの存在も淳美にとっては大きなストレスになっていた。いつもあかねに操られている自分にうんざりしてい…
小説 『マナ~ズメモリーズ』 【第3回】 真名 【アダムとイブの原罪】子供でもわかる、はじまりの物語 【前回記事を読む】「これ、“あの実”よ。とっても美味しいから2つ取ったの」そう言ってアダムの方に走り去っていくイブ。その日以来、二人は… おいらは、なぜ、イブがあの木の実(み)を食べたのか知りたかった。そこで、イブにたずねてみた。「ねえ、君(きみ)はあんなに怖(こわ)がっていた木の実(み)をなぜ食べたの?」イブは、待(ま)っていたように、話し出した。「あの木の実(み)を怖(こわ)がっている私(わ…