「それって、やばいんじゃないですか?」
それから数日後、剛史から連絡が来た。
禅は、約束した外国人バーに行った。そこは外国人が溜まるバーで、音楽が大音量で流れている。店の中は人が多く溢れ、すし詰め状態だった。剛史は先に着いていた。禅は音楽のボリュームが大きく、聞こえにくい中、剛史に近づくと大声で言った。
「剛史くん、早いですね」
「よう禅、まあ飲めよ」
そう言うと剛史はバーテンダ―にテキーラを頼んだ。二人はそれで乾杯すると一緒に飲み干した。
話を聞きたそうに待っている禅に、剛史がマリファナを渡した。禅がそれを吸ったのを確認すると、
剛史は話し始めた。
「俺の知り合いが、隠れてこれを栽培しているんだ」
「え!?」
「だから、格安で手に入る。これで一緒に儲けようぜ」
「…」
禅は考えた。それ自体が犯罪である事も理解できた。
「それって、やばいんじゃないですか?」
「大丈夫だよ、裏サイトで売るから足はつかない」
「…」
「大丈夫だ。何かあったら俺がケツを持つ! 安心しろ!」
そう言った剛史の言葉が、余計に心配をあおった。
〝こいつがケツを持ったら終わりだろ〟
そう考え黙っていると、剛史が話し始めた。
「ネットのサイトの管理は俺がやるから大丈夫だ」
「じゃあ、俺は何をやればいいんですか?」
「お前は簡単だ、お前の店があるだろ、あそこに物を置いて取りに来たヤツに渡したり、顧客に荷物を発送したりしてくれればいいんだ。それだけで大金が入るんだぞ」
「…」
禅は、今の自分が追い込まれている状況を考えていた。