〝しかし…?〟
しばらく考えていたが…テキーラとマリファナが、禅の思考能力を低下させていた。
「どうだ?」
禅は鈍る思考で考えた。
〝もう店も限界だ…何かをやる事も出来ない…これ以上、親にすがるのも限界だろう…〟
返事を迫る剛史に押され、禅はうなずいた。
「分かりました、やりましょう」
禅は〝それだけで金が入るなら〟という簡単な気持ちだった。
賢一は大学を首席で卒業した。そして警視庁に入った。警察官僚として、まさにエリートだった。禅は、それを風の便りで聞いていた。
「賢一、お前は大した奴だよ」
子供の頃から運動神経が良く、クラスの中心的な存在だった禅。子供の頃から取りえが無く、根暗でイジメられていた賢一、それが今は…完全に逆転の人生を送っていた。人の人生は時に残酷だ。どこで歯車が狂い、明暗を分けたのか?