「大丈夫、移植までなんとか乗り切ろう。そしたらさ、今度は一緒に旅に行こうぜ。教室だっていつかまた──」私がそこまで言うと哲也の顔が険しくなった。「移植まで何年かかるか知ってるか? じっくり待っていたら7年だぞ? それまでこんなんでいろってのかよ」安易な私の話を哲也は遮って言った。絞り出したその声は小さく、何とか聞きとれる程度だったが怒りに満ちていた。「でも、可能性はあるんだ。一緒に前向きに考えよ…
新着記事一覧
-
小説『旅するギターと私の心臓』【第24回】松原 良介
3億だぞ?
-
エッセイ『ひたすら病める人びとのために(上)』【第23回】
アメリカナイズ
-
小説『尼崎ストロベリー』【第23回】成海 隼人
僕のは青のり抜きで
-
健康・暮らし・子育て『ヒューマンファーストのこころの治療』【第23回】榎本 稔
病的に借金を膨らませてしまう人たち
-
歴史・地理『天才の軌跡』【第23回】堀口 尚夫
投獄中に『ドン・キホーテ』は書かれた
-
小説『旅するギターと私の心臓』【第23回】松原 良介
あのギター
-
エッセイ『ひたすら病める人びとのために(上)』【第22回】
不可思議な国インド
-
小説『尼崎ストロベリー』【第22回】成海 隼人
私は、クマのような人間です
-
健康・暮らし・子育て『ヒューマンファーストのこころの治療』【第22回】榎本 稔
大量の空きベッドを抱えている精神病院
-
歴史・地理『天才の軌跡』【第22回】堀口 尚夫
父親像の崩壊は南欧において早かった
-
小説『旅するギターと私の心臓』【第22回】松原 良介
それは哲也の日記帳だった
-
エッセイ『ひたすら病める人びとのために(上)』【第21回】
新婚旅行は沖縄に来ます……
-
小説『尼崎ストロベリー』【第21回】成海 隼人
しょうがない、金のためだ
-
健康・暮らし・子育て『ヒューマンファーストのこころの治療』【第21回】榎本 稔
夫婦はまた二人きりの生活に戻ります
-
歴史・地理『天才の軌跡』【第21回】堀口 尚夫
ロマンチックの病を病んでいる
-
小説『旅するギターと私の心臓』【第21回】松原 良介
残された道は『心臓移植』しかない
-
エッセイ『ひたすら病める人びとのために(上)』【第20回】
菜食主義と非菜食主義
-
小説『尼崎ストロベリー』【第20回】成海 隼人
ビジネスチャンスを逃したらあかん
-
健康・暮らし・子育て『ヒューマンファーストのこころの治療』【第20回】榎本 稔
イタリアには精神病院(入院施設)が1棟もない
-
歴史・地理『天才の軌跡』【第20回】堀口 尚夫
戦後社会における父親の弱体化