昔はみんな
昔はみんなそうだった
電気もない 水道もない生活
ランプを灯し そのすすを新聞紙で磨き
外の井戸から 木樽で何回も水を汲み
この若い時にしてきたことが
骨をつくり 筋肉をつくり 根性をつくり
この蓄えで 九十八歳までの心と体を保てたのですね
思うように歩くことができなくなったひざ
でも 自転車に乗って 古くからの友達の見舞いに出かけていた
「あの人が亡くなった またあの人も」
かあさんにも 自然に自然に 近づいてきていたであろう
死へのあし音
でも 来年のために 野菜のたねの選別をしていたかあさん