はじめに
かあさん
かあさんの本ができたよ
母が亡くなった淋しさと共に
私に襲いかかってきた後悔の渦
心の叫びを
母に届けと…
日々の生活に追われていた明治、大正の
女性の芯の強さ、生き方が
いまなお私に語りかけてくれています
悲しいとき 泣きながら誰かに話し
嬉しいとき 笑いながら誰かに話し
誰かの聲を聴くことで
心がしずまり 元気になっていく…
いまだから、いまになってから、思い出すあの眼差し、あの温もり
いまだから、いまになってから、叶わないことだけど、ただ願う――
母という存在をなくして、心は声なき言葉を語りだす。
失ってから、ふたたび得る。ひとすじの救済への過程。
「かあさん、ありがとう」
第21回 日本自費出版文化賞「詩歌部門賞」受賞作品を連載でお届けします。