エッセイ 日本画 2020.12.15 自分の人生を生ききった そんな顔でした もう一度かあさんの聲が聴きたい 【第1回】 法邑 美智子 オールカラーでお届けする魂の響き、日本画作品40余点 いまだから、いまになってから、思い出すあの眼差し、あの温もり いまだから、いまになってから、叶わないことだけど、ただ願う―― 母という存在をなくして、心は声なき言葉を語りだす。 失ってから、ふたたび得る。ひとすじの救済への過程。 「かあさん、ありがとう」 第21回 日本自費出版文化賞「詩歌部門賞」受賞作品を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 次回の記事へ 最新 はじめに かあさん かあさんの本ができたよ 母が亡くなった淋しさと共に 私に襲いかかってきた後悔の渦 心の叫びを 母に届けと… 日々の生活に追われていた明治、大正の 女性の芯の強さ、生き方が いまなお私に語りかけてくれています 悲しいとき 泣きながら誰かに話し 嬉しいとき 笑いながら誰かに話し 誰かの聲を聴くことで 心がしずまり 元気になっていく… [画像1]父と母のはじめての写真(右) いのちのつながり(左)
小説 『毎度、天国飯店です』 【第6回】 竹村 和貢 サークル勧誘チラシの前で、『徒然草』を抱えた美人と出会った…。 天国飯店の定休日は毎週火曜日。アルバイト生四人で、月曜から土曜の間の五営業日を分担する。四人のうち誰か一人が二営業日に入る。その者以外の三人のうちの一人が日曜日に店に入る。日曜日は大学が休みなので、朝の十時から閉店の午後九時まで十一時間店に入ることになる。「ほな、俺、明日もバイトやさかい、おっちゃんに自分のこと話してみるわ。多分、おっちゃんも構へん言わはる思うねんけど」夏生は、「できない」とは思…
小説 『天命愛憐』 【第7回】 せと つづみ 「社会を変えれば、貧しい人たちは救われる」労働者の集会で…それって本当? 敬明と別れた帰り道、わたしはあることを思いつき、遠まわりして図書館へ行ってみようと思った。『告壇』を見たかったのだ。わたしは婦人雑誌以外は読まなかったが、学校へ通っていた頃は、たまにだが、図書館で本を借りて読んでいた。新聞はまともに読んだことはないが、なにが書いてあるかぐらいはわかる。たぶん。 図書館へ行く途中、広場で男の人たちが集会をしているのを見かけた。労働者の集会らしかった。『勝手に賃金を…