【前回の記事を読む】余命宣告されたオカンと借金まみれの僕。気がつけば病院6階の窓の前にいた。死ぬなら一緒に――その時オカンは笑って…
第2章
「眩しっ! 頼んでもないのに、勝手に俺を照らすな!」
橙色した太陽を僕は睨んでツッコんでやることで己の溜飲を下げる。メラメラ情熱的に燃える太陽に不機嫌な僕は八つ当たりをした。僕の不機嫌の源泉は、17歳の僕の体を締め付ける窮屈な制服だ。
有り体に言えば、制服が自分の体に比してむっちゃ小さい。スリムモデルとかジャストサイズという問題ではもはやない。タイトに着こなすというファッションの領域を超えて、ただただ小さい。
上半身のブレザージャケットはまだいける。しかしながら、ズボンがもう限界に達している。特にお尻の部分が左右に引っ張られて今にも破れそうだ。右尻の生地と左尻の生地がお互いを引っ張り合う、片尻対抗・綱引き大会が開催されている。
双方を繋ぐ糸が外部に露出してしまっていて、「もう、限界や!」と断末魔の叫び(関西弁)をあげている。ズボンが窮屈すぎで急にしゃがむと破れて、茹でたてのウインナーのようにパリッと「尻」が生まれそうな感じだ。ズボンよ、もう少し耐えてくれ。
目下、僕はズボンの尻部分に配慮した青春時代を過ごしていた。それほどまでに僕がズボンの破裂を回避しようとする理由。それは、来年から制服がモデルチェンジするらしいということだ。
制服業者から新しいデザインの制服が購入できるまでの間は、少々窮屈でも我慢だ。オカンに制服を買ってくれだなんて贅沢は言えない。っていうか、僕の在学中に、制服変更に踏み切った校長および教頭を即刻シバきたい。
今日は、進路ミーティングという学校主催のイベントである。この学校を卒業した大学生や社会人OB・OGを講師として招いて、先輩卒業生のリアルな話を聞かせ、生徒に将来の進路を自分の頭で意識づけさせるという趣旨のものである。
高校二年生全員の総勢480名が体育館に集められた。僕はズボンが破れないように、下半身をかばいながら後期高齢者のようなスローな振る舞いで体育館の端っこのパイプ椅子に腰をかけた。