ステージ上には本校を卒業し東京の某難関私立大学を経て、大手商社勤務中の社会人OBがマイクを握ってベシャる。演台に拳を叩きつけ、僕ら後輩に向けて自信たっぷりの演説。ゆるめのデザインパーマをあてたヘアスタイル、細身のグレースーツ。

「○○か・ら・の〜?」という、どこかのテレビタレントが流行らせたフレーズを模倣し連呼しまくる。自分大好き、週末は海でBBQしてます、趣味はサーフィンです、彼女は元読者モデルでしたとか言い出しそうな、世間的に言えばイケてる属性にカテゴライズされる社会人である。

僕が彼の事を忌み嫌うようになるまで、ものの五分もかからなかった。熱く雄弁に物語る彼は続ける。

「高校2年のお前らさ! お前らの人生はな、これからの受験戦争をどう頑張るかどうかで全てが決まんだよ! 絶対に志望校に合格して人生変えるんだ! 強いマインドを持とうよ!」

少し先に生まれたからって、少し先に同じ高校に入ったからって、先輩面して、初対面で「お前ら」って言うな、ボケ。苦手な人種から発せられるコトバというものは、なんでこうも頭に入ってこないのだろうか。

あいつの脳内で創り出され、汚い喉頭の声帯を通過してドブ臭い舌や唇を経由し、この世界に生まれたコトバなど到底受容なんかできやしない。第一、僕は進学するのかも、就職するのかも最終的に決めていない。勝手に俺の人生を決定するな。

次回更新は3月14日(土)、14時の予定です。

 

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自分で言います? 「立派な社会人」って。

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