私は「千穂!」「千穂!」と大声を出したはずだが、全く音になっていなかった。まるで声帯がなくなったようだった。私は千穂の手を強く握るのが精一杯だった。千穂も声は出さないが、大変な恐怖を感じているのに違いなかった。千穂も私の顔がぼやけているのだろうか。前を向くと、前方左手に五十代と思われる和服を着た女が、ゴザの上に座っている。右手には六十代前半くらいの男が、太鼓の前に座り撥を持っている。 太鼓の奥…
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