稜線(りょうせん)の向こうからは白い噴煙が立ち上(のぼ)っている。噴石は止んでいるようだが、熱気と蒸し暑さはまだまだ収まる気配はない。辺りは灰色で、ところどころの焼け焦げたような黒みがかった一面の景色は、よりいっそう拡大している。新緑の季節がはじまろうとしているなかにおいて、ここは山中のはずだが……、なんと恐ろしい光景だろう。太陽の光だけはいつもと変わらないが、異様に眩しく感じる。再び目線を落と…
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小説『青の中へ』【第8回】くんぷう
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小説『千恵と僕の約束[人気連載ピックアップ]』【第2回】成田 たろう
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エッセイ『300年先まで残る国であるために』【新連載】堀 源太郎
100年後、日本の国土の中で、日本人として、存在する余地があるか―「真に心もとなく、非常に「脆弱」な存在だと見ている」
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小説『13.Feb チョコレーション』【第10回】齊藤 俊彦
目の前に出された4つのスープ。――そのうち2つは紛れもなく最高のスープだった
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小説『喰道楽』【新連載】大藤 崇
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健康・暮らし・子育て『本当に幸せになる実践終活法』【新連載】渕上 茂弘
"子供に頼らず死ぬまで自由に生きた父"を見て気づいた、今こそ語りたい後期高齢者のリアルと介護における本当に大切な心得
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小説『虹色の魂』【第18回】青居 蒼空
「残飯なんか食べて、大丈夫だったの?」「当時は、残飯でも食べられたら幸せだったわ。」――上野駅の地下で暮らしていた戦災孤児…
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実用『理科的文科人のすすめ』【新連載】影山 光太郎
社会システムを理科系・文科系から理解し、キャリアアップの手掛かりに! 職業人、社会人の素養を高める、実践を越えた眼差し。
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エッセイ『破壊から再生へ[注目連載ピックアップ]』【第13回】橋岡 蓮
うちの会社の求人広告をたまたま見かけたが、時給も日給もでたらめでもはや笑うしかなかった。この大嘘つきが。それでも…