太陽光エネルギーを地方再生の起爆剤にする
250年前にイギリスの産業革命で石炭を使うようになって、はじめて集中的なエネルギー利用が始まり、その後の石油・天然ガスも原子力も集中的なエネルギー利用形態が続いて、私たちにはエネルギーとは、集中的なものでなければならないという観念ができ上がってしまいましたが、その前までは太陽エネルギーのように分散的なエネルギー利用しかありませんでした。
これだけ複雑化し巨大化した現代社会から、この30年で化石エネルギーが使えなくなる、また、原子力エネルギーも、少なくともこれ以上使えなくなるとすると、頼りになるのは電気だけです。
これだけ人口が増え、これだけの産業や都市の時代になってしまいましたから、この膨大なエネルギーに代わるものは、太陽エネルギーしかありません。まさに太陽光から電気を取り出す技術が間に合って、できていたから、人類は何とか望みをつなぐことができるのです。
今、最も重要なことは、その分散的な「電気」エネルギーを集めてでも私たちはやっていけるということを実証することです。まさに革命的で私たちのエネルギーに対する観念を変えなければならないところにきたのです。
太陽光発電は面積当たりの発生電力が少ないため、日本のように従来、国土が狭いといわれているところでは、無理だと頭から決めてかかるのではなく、やるとなるとどうなるか、どれだけの設置場所を必要とするか、それをどう確保するかを検討してみることから、始めてみます。
太陽光発電の土地はどれくらい必要か
このような分散的エネルギーを集めるのにどの程度の土地面積が必要か、まず、わかりやすい家庭用電気から始めましょう。『安心・安全! 自宅でできるソーラー発電のすすめ』(桑野幸徳、有楽出版社、2011年刊)を参考にさせていただきましたので、原単位はそのころの数字であり、試算もそのころやったままです。
現在(2020年)は、これより、すべて数字はよくなっています。たとえば、ソーラーパネルの発電効率は、当時は10%程度でしたので10%の数字を使っていますが、現在では20%程度にはなっていますので、太陽光発電面積は試算結果の2分の1ぐらいになっていると考えていいでしょう。
まず、第一段階として、住宅やそれに類する家屋の屋根に設置するとどれだけの電力が得られるか、これも現在はさらに空き地が増えていますから、住宅とは限らず、設置コストの安いところからやればいいと思います。
屋根などで総電力の約30%がまかなえる
日本の場合、1年間を平均して1平方メートル当たり1キロワットのエネルギーを受け取れる時間(平均日射時間)は、1日当たり3.84時間になります(気象データによります)。
今、10%(将来、20%の変換効率にはなるでしょうが)の変換効率の太陽電池(最大出力100ワット)を用いたソーラー発電システムでの、1日当たりの発電量は、1kW×3.84h×0.1=0.384kWhただし、一般的にはパワーコンディショナーなどでのロスや、日照の非常に弱い早朝、夕方は電力が取り出せない場合があることを考慮し、それらによるロスを約3割と見積もって、それを差し引きますと、約0.27キロワット時となります。
すると10%の変換効率の太陽電池を用いた場合、1平方メートル当たりの発電量は1日当たり、約0.27キロワット時、1年間では、0.27kWh×365日=98.55kWh、約100キロワット時の電力が得られると概算します。つまり、10%の変換効率の太陽電池1平方メートル当たり=1年間で約100キロワット時の電力が得られます。
日本の標準的な一戸建ての家庭の屋根面積は国土交通省の統計によりますと約120平方メートルです。その南側の屋根に変換効率10%の太陽電池を用いた4キロワットのソーラー発電システムを40平方メートル設置すれば、この家庭は1日当たり、0.27kWh×40=10.8kWhの電力量が得られます。
これは日本の一般家庭で使用されている1日の平均電力量約8~13キロワット時とほぼ同じ値になります。年間で計算しますと、その発電量は、10.8kWh×365 日=3942/4000 kWhとなります。