日本は太陽光発電のグリッドパリティが実現しているか
日本ではどうかということですが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、家庭用電力なみ(日本において23円/キロワット時)になることを第一段階グリッドパリティ、業務用電力並(同14円/キロワット時)になることを第二段階グリッドパリティ、汎用電源並(同7円/キロワット時)になることを第三段階グリッドパリティと定義しています。
日本国内においては、補助金が中断した2005年頃から国内市場は縮小・コスト増加傾向を示しました。このため前述しましたように、日本政府は2011年にFITに切り替えましたので、価格も再び下がり始め、急速に普及し、2010年の発電コスト40円/キロワット時でしたが、2016年には18円/キロワット時と半額以下になりました。
これは家庭用の小売り電力については実質的にグリッドパリティに到達していると見られ、今後もさらにコスト削減が続く見通しです。
ここまでくると、政府が本腰を入れて、太陽光発電への転換方針と発電量目標を示せば、太陽光発電は、業務用についても、量産効果で一気にコストは下がり、グリッドパリティに達するのは明らかです。
しかし、日本政府にその動きは見えません。いつまでもコスト削減の研究開発をやっている場合ではありません。劇症型地球温暖化に対処するのに、今、最も大事なことは「時間」です。
福島原発事故から10年が経ちました。日本のエネルギー政策は曖昧模糊として、この貴重な10年をまた失ってしまいました。日本では「太陽光発電は2030年ごろになっても経済的に自立できない」などとする主張がなされ、現にエネルギー基本計画でも太陽光発電を重視していませんが、これは明らかに太陽光発電の普及を阻止する意図があるといわれてもしかたがありません。