10月25日(日)
メジロ
今日、今年初めてメジロを見た。
裏の傾斜地に先住者が植えた柿が2本、大きく育っている。私たちが住むようになってからでも30数年であるから、樹齢は50年を超すであろう。
毎年いっぱいの実をつけるが、自分では危険で収穫できない。植木屋が最終的な刈り込みをするが、ほとんどすべて、小鳥の餌である。私はそれに満足している。
メジロはこの頃にやって来て、ツバキ、梅の花を吸える頃までいる。私が一番好きな小鳥が雀で、次がメジロである。
10月26日(月)
T医院のT先生
丸山ワクチンをT先生に射って頂いている。今月5日に開始して、今日で、A液B液、各5本を射ったことになる。
T医院は偶然に知った。車の運転も自転車にも乗れない良子が、徒歩またはバスで通える近場で探した。大通りに面していて、小形のマンションの正面にあり、それなりに立派な構えであった。
丸山ワクチンのことを話すと、あなたは丸山ワクチンのことを知っているのか、と逆に訊ねられた。「昔から知っています」と答えた。
「効かないよ」と言われた。
「気休めかもしれません。承知しています」
「それを承知の上なら、射ちますよ」
というようなことで引き受けてもらった。
その後、良子一人で通うようになっても、「効かないよ」と言われたようであるが、「はいはい」と笑っていると、もう言わなくなったそうである。
今日はB液を射ってもらった。良子は、30日に入院2日に手術、9日の退院であることを話し、「その間は来られません。次は9日に来ます」と言ったら、
「どういう手術をするの?」
「腹腔鏡下です」
「ひとつ間違えば死ぬなあ、とT先生は言うたわ。ははは」
と良子は報告した。
「オモシロイ先生やわ」
私も2、3度T医院を訪ねて、ちょっと普通と違うことに気付いた。
商売気がまったくないのである。
看護師さんはいない。事務の人もいない(いることもある)。
従って先生が診察し投薬し会計をする。患者の数がまた、それに見合っている。
よく観察してみると私より年上のようで、ひょっとすれば80に近いのかもしれない。そしてこのマンションそのものが、T先生の所有なのではないかと思えてきた。
どうも隠居仕事というか、趣味でやっているようなところがある。
自分が射つクスリを、「効かないよ」とか、これから手術を受ける者に、「間違えば死ぬよ」とか、非常識のようにも思えるが、良子は笑いながら報告するし私も笑いながら聞く。
何となく風格のある先生で、この先生には長生きをして頂き、丸山ワクチンを射ち続けてもらわなければならない。