同じような社員ばかりの会社
問題点のひとつは、会社内が同じような社員ばかりになってしまう、つまり社員の多様性が乏しくなってしまうということだ。
実際に社会人を長くしていると、同じ業界内で初めて会う他社の人でも雰囲気だけでどこの会社の人か見当がつく方も多いのではないか。
それはなぜか。理由は二つあると考える。
まず、社員の「新陳代謝」があまりないことだ。終身雇用制度では新卒で職場に入り定年までそこにいる、いわば「鎖国状態」だから当然である。
その理由は採用面接にある。
これは通常は会社の人事部や幹部なりが行い、その「おめがね」にかなった人が選ばれる。
だから、どうしても同じようなタイプの人物が多くなる。よく会社案内で、「学生時代の専攻にかかわらず、幅広く人物本位で採用しています」といった宣伝文句が書いてある。
だが、これにも限界がある。面接官は、同じ会社のなかで経歴を歩んできた同年代の人がすることが多い。
どうしても自分たちと似たような人物を選んでしまう。わざわざ自分とウマの合わない学生を選ぶ人はいないだろう。
こうして会社内が同じような社員ばかりになってしまうと、いったい何がマズイのか。
それは、斬新でユニークな新しい製品やサービスが生まれない、とまでは言わないが、その可能性が低くなるということだ。
少し話は飛躍するが、近親者つまり兄弟や近い親せきの間での結婚を避けるのは、人間だけでなく動植物にもいえる自然の摂理だ。
だが、終身雇用制度のもとでは、近親婚と同じような、つまり自分たちと同じような人間を選ぶ、という組織の繁栄の観点からはマイナスのことが続いてきた。
さて次に少し視点を変え、勢いのある企業はどうかを見てみたい。