どのような雇用体制にすべきか?――採用について――
終身雇用制度は、平成の30年間で徐々に崩壊してきた。そして、令和元年(2019)、日本を代表する企業、トヨタ自動車の豊田章男社長からも「終身雇用は継続が難しい」と発言があった。
しかし、結局は平成の30年間を終え令和の時代を迎えたいまでも、それに替わる新たな雇用体制の確立はできていない。それが、社会の不安、行きづまり感を高める大きな原因となっている。
では、どうした雇用体制が望ましいのだろうか。
結局のところ、皆が驚くような斬新な雇用体制はなく、海外であるような、いたってごく普通の雇用体制に落ち着かざるを得ないのでないかと考える。
まず、採用について、これまでのような高卒または大卒一括採用は、もはや止めるべきだと考える。
そもそも、新卒一括採用があるために、就職活動に時期的な面で不利になるからと、いまだに留学をためらう学生がいる。これは、本人だけでなく日本にとっても不幸なことで、日本の国の成長の機会をみすみす逃しているようなものだ。
むしろこれとは逆に、外国では「Gap Year」というものがある。高校生が卒業後すぐに大学に入らず、見聞を広げるためにボランティアや放浪の旅に出るような、空白・合間(Gap)の年(Year)を指す。もっと昔、18世紀のイギリス人貴族は、学業の仕上げに一年(Year)どころか数年という長い時間をかけ当時の先進国フランスやイタリアを回り文化を吸収する「Grand Tour」という、その名のとおりの「大旅行」をした。
日本も新卒一括採用にこだわらず、むしろ「Gap Year」(有意義な空白の時間)を過ごした学生を積極的に、もちろん年齢にはこだわらずにいろいろな経験、経歴の人を採用するなど、思い切って間口を広げるべきときではないかと考える。