ついに来た葬儀の日。家からパパが運び出されるのが私には耐えられなかった。

だって、今出て行ったら、二度とパパは帰ってこない。泣き叫ぶ私に息子は困ったようで、姪っ子を呼びに行った。

「ママが泣いてる」

そう、こんな母だから、息子は泣けないんだ。今ならわかるが、その時の私は、ただただ白黒の世界に一人でいるようだった。

あんなにもたくさんの人が支えてくれていたのに。何も見えていなかった。

毎日「行ってらっしゃい」とパパと二人で一緒に子供たちを見送った玄関から、パパは何も言わずに出て行った。

姪っ子が私に寄り添って支えてくれた。

「大丈夫だよ」と。「準備して私たちものぶ兄ちゃん(パパ)のとこ行こう」と。

そうだ! パパを一人にできない! 行かなきゃ。

葬儀場へはどうやっていったんだろう? 入口にあった葬儀の看板は、なんだか他人事に思えたが、そのパパの名前が書かれた大きな看板の記憶だけは鮮明にある。

通夜の時間がせまり、いろんな人が来てくれた。その懐かしい顔たちが、あまりに辛くて私は挨拶も早々に目を伏せて立ち去ってしまった。失礼な奴である。

葬儀はしめやかに……しめやかに? でもなく、たくさんの人が来てくれて、にぎやかに執り行われた。

 

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