「ああ、肩凝るー」

10月13日、教3の部屋で詩はネックマッサージャーを首に巻き、目を閉じて椅子に背を預けていた。昨日の夜遅くまで高井良と2人で周囲の地取りをしたのだが、全く収穫がなかったのである。そこへ高井良が戻ってきた。

「光信さん、見てください。一課の中間報告書を手に入れましたよ」

「ああ? あんた、またコロネちゃんを使ったの?」

「やはり一課は、山本が覚醒剤取引のトラブルに巻き込まれたというプロットのようですね。相変わらず弾丸は行方不明のままです。

山本の住所が書いてありますね。妻の麻衣41歳と2人暮らし。麻衣はクラブのホステスをしています。

それから第1発見者の3人の名前と住所もあります。松本亮、柴田聡、坂本卓也。

いずれも22歳、職業はそれぞれ、無職、建設業、お寺の息子で、3人は小学生からの幼馴染。これだけ情報があれば捜査のしがいがありますね」

「ちょ、ちょっと。まさかまた地取りに行こうって言うんじゃないでしょうね」

詩が慌てた。

「ええ、もちろん。この3人は毎晩Y公園に集まって飲んでいるらしいので、今夜行ってみようと思います。

もちろん光信さんは来なくていいですよ。僕が勝手に好きでやっているだけですから」

「そういうわけにはいかないわよ。こっちは天蓋さんから『新人をよろしく頼むぞ』って言われてるんだから。君に何かあったら私の責任になるんだからね」

「じゃあ、今晩9時に公園で」

「何で私がこんな新人に振り回されないといけないのよ」

詩は小声で愚痴った。

「何か言いました?」

「いえ、何にも」