湯船から出て、ベッドへと移った。
薄暗い部屋に、アロマの香りがほのかに漂っていた。渉は温めたオイルを手に取り、浩子の首筋から肩へとゆっくり広げた。緊張でかたくなった筋肉に、じわりと熱が入っていく。
それから仰向けになってもらい、バスローブの前を少し開いた。首から鎖骨へと指が移り、内側へとゆっくり滑らせていくと、浩子の体がびくっと跳ねた。
「……大丈夫ですか」
「ん……続けて、ください」
渉はゆっくりと触れ続けた。胸の丸みに沿って手が移るたびに、浩子の唇から押し殺したような声が漏れ始めた。
「……っ、んっ……」
「我慢しなくていいですよ。ここには俺しかいませんから」
その言葉で何かが解けたように、浩子の体から力が抜けた。渉の手が胸の頂きをそっとなぞると、浩子の背中が弓なりにしなった。
「……あっ……」
声が、室内に広がった。浩子はしばらく口を押さえていたが、やがてそれをやめた。渉はさらに丁寧に、焦らずに触れ続けた。
指が腹部から太ももの内側へと移ると、浩子は小さく悲鳴に近い声を上げた。体が小刻みに震え始め、渉の腕をぎゅっと掴んだ。
「ワタルさん……」
やがてすべての力が抜けると、浩子はしばらく動けなかった。渉は黙って、そばにいた。
浩子は天井を見上げたまま、「……お願いしてよかったです」と、事務的な口調で言った。
渉は「ありがとうございます」と答えた。それだけだった。
浩子は着替えを終えると、バッグを持ち上げ、「失礼します」と言ってドアを出た。振り返らなかった。
次回更新は9月14日(月)、22時の予定です。
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