スーパーへ行くと、早番の人が店のドアを開けっ放しにしていた。

そこから入ろうとすると、店の中から「泥棒!」という大声が聞こえ、月渚は立ちすくんでしまった。

すると、ドアから鯵を咥えた黒猫が飛び出してきて、通りを一目散に逃げていった。

驚いて呆然としている彼女の所に栗原が駆け寄ってきた。

「古葉さん、なにぼーっとしてるんですか。早く追いかけてください!」

「えっ、えっ? わ、分かった」

月渚は慌てて黒猫の後を追いかけたが、見失ってしまった。

それでもしばらく捜し回っていると、店の近くにある公園の芝生の上で、黒猫が鯵にむしゃむしゃ食らいついているのを発見した。

「この泥棒猫め」

月渚が抜き足差し足で、こっそりと黒猫の背後に近づいた時だった。