次の日、彼女は仕事を休んだ。よく眠れなかったし、朝起きたら頭痛がして体がやけに重かった。無理して仕事に行こうとしたが、涙が自然に溢れて心が潰れてしまったかのようだった。

もう1度ベッドに潜り込み、店に電話をかけたが、「急に休むなんてシフトが大変なんだから」と憤慨されてしまった。

彼女の頭の中では不安が渦巻いていた。もちろん彼女には全く非がないのだから、堂々としていればよいのかもしれないが、証拠がなかったとしても、意地悪な同僚たちは「超能力で魚を盗んだに違いない」と噂しているに違いない。

たとえ魚の万引きがあっても、私が奇跡の少女でなければ、こんな扱いはされなかったはずだ。

全ては超能力のせいだ。だが、それでも彼女は「こんな時に本当に超能力があれば」と思わずにはいられなかった。

本当に超能力があれば、魚を盗んだ真犯人を捕まえられる。

そしてみんなから尊敬と信頼の眼で見てもらえる。或いは、本当に超能力があればあんな店なんてすぐやめてしまって、どこか遠く、誰も知らない所で独りで暮らしていけるのに――。

そんな馬鹿なことを考えながら、二度寝しているともう夕方になっていた。それでもお腹は空かない。

だが、部屋の中には水道水くらいしか飲むものがなかったので、彼女はコンビニへ買い物に出た。

空は彼女の気分と同様、どんよりと曇っていた。ペットボトルを数本買って帰る時、明日はどうしようと急に不安になった。

明日は店に行けるだろうか。一体どんな顔をして。重い荷物でも背負っているかのように陰鬱な足取りで部屋に帰ろうとしている時、通りのビルに『増田メンタルクリニック』と看板が掲げられているのが目に入った。

通り過ぎようと思っていたのに、彼女はいつの間にか待合室のソファに座っていた。