「ねえ、知ってる? 古葉ちゃん、昔、奇跡の少女って呼ばれてたのよ」
「えっ、奇跡の少女? 何ですか、それ」
「3歳の時、乗ってた飛行機が爆発して、一人だけ助かったのよ。それで、奇跡の少女って呼ばれてたんだけどね、しばらくしてから超能力少女だって名乗ってTVに出たのよ。それが、実験が全部失敗して日本中のお笑い種になったのよ。それで1度自殺未遂までしたらしいよ」
「えーっ、ウケる。今でもひょっとして超能力信じてるんですかね」
「どうかしら。超能力なんてあるわけないのにね。馬鹿馬鹿しい」
月渚は耳を塞ぎたい気分だった。小走りで人気のない鮮魚コーナーに戻った。
そうだ。そのとおりだ。この世に超能力なんてない。
そんな馬鹿なことを信じて、自分は人生の大半を棒に振ってしまった。そして死を選んだ。
息を吹き返した時に、二度と超能力なんて信じない、普通の人間として生きていくんだと心に決めた。
それなのにまだ、過去の汚名が私を苦しめるのか。世間は私を赦してくれないのか――。
彼女は暗澹たる気分で作業を続けた。
その時、小柄で半白の頭に眼鏡をかけた目の細い店長がやってきた。
「古葉さん、ちょっと事務室に来てもらえますか」
「はい……」
急に事務室に呼ばれるなんて今までないことだった。
ドキドキしながら事務室に入ると、中のテーブルの椅子に座っていた制服姿の警察官が立ち上がった。
「こちらは交番の鍬下さん」
「こんにちは」
彼は帽子を脱いで挨拶した。
「こんにちは……」
次回更新は9月4日(金)、21時の予定です。
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一斉射撃を受けても傷ひとつなかった…無数の警官を巨大な透明の球体に閉じ込めたかと思うと、次の瞬間、全員の体が1つの“肉団子”のように…
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