【前回の記事を読む】コンビナートを火の海にした男…ついに宿敵の女を追いつめ、勝利を確信した――その直後、男の両腕はドロドロに溶け落ちて……

サイコ8――リヴァイアサンの暴走

議事堂前では激しい銃撃戦が続いていた。神撰の兵士は既に10人足らずまで減少していた。

「総裁、もうこれ以上持ちこたえられそうにありません」

床に這いつくばっている山口が泣き言を漏らした。しかし、青竜は音楽でも楽しんでいるかのように上機嫌だった。

「総裁!」

山口が悲鳴に近い声を上げた時、弾丸が燃料タンクに命中し、オスプレイは轟音とともに爆発した。爆発に巻き込まれ、神撰の兵士は全滅してしまった。

山口はすんでのところで飛び出して地面に這いつくばり、燃え上がる機体を呆然と眺めていた。

「総裁……」

山口の心配をよそに、燃え盛る炎の中から青竜は悠然と出てきた。

「戴冠式のパレードは派手に限るな。殉職者たちは永遠に歴史にその名を刻まれるであろう。だが、ここからは彼らの助けは不要だ」

青竜は呆然と突っ立っている山口の横を通り過ぎると、警官隊が待ち構えている議事堂の方にどんどん歩いて行ったので、山口は慌てて後に随った。

「止まれ! 撃つぞ!」

SATの隊長らしき人物が怒鳴ったが、青竜の歩みが止まることはなかった。警官隊が銃を構えた。

「撃て!」

隊長の一声で警官隊は一斉射撃を始めた。しかし、周囲に障壁(バリア)を張り巡らしていた青竜は全く涼しい顔をしていた。

そしてそのバリアを変形させ、驚愕している周囲の警官たちを全て包み込み、1個の巨大な球体の中に押し込めた。籠に捕らえられた無数の虫のように慌てふためく警官たちを見てにやにや嗤いながら、青竜はその透明な球体を急速に縮小させた。

無残にも警官たちは1つの巨大な肉団子のように圧し潰され、多量の血液で真っ赤に染まったかと思うと、最後は本当に小さな肉団子の姿となって、階段の上に転がった。

「ひいっ、ひいーっ!」

自らの敵とはいえ、あまりにも残酷な最期に発狂する程の恐怖を感じ、山口は地面に這いつくばり、悲鳴を上げた。

「いつまでそうしているんだ? 戴冠式をさぼるつもりじゃないだろうな」

青竜の言葉でやっと我に返り、山口は慌てて自分の主人に随った。