「何だ、あれは……」
遠くから見ていた鍬下が唖然として言葉を詰まらせた。
「まさか、あれが青竜?」
麻利衣も目を丸くして立ち尽くしていた。人々も首都の中心に君臨した巨大な怪物を見上げて驚愕し、混乱に陥っていた。竜は地上の賽子を見下ろし、彼女と鋭く睨み合った。
「遂に正体を見せたな。化け物め」
その時、空の果てから数個の黒い影が近づいてきた。自衛隊の戦闘機がスクランブル発進してきたのだ。
戦闘機はミサイルを発射し、竜の頭部に命中したが、竜は蠅がたかったかのようにかぶりを振って嫌がっただけで全くの無傷だった。
竜が口を開くとレーザーのように直線状の炎が吐き出され、戦闘機は全て街中に墜落して爆発、炎上した。その後、何機もの戦闘機が竜を攻撃したが、全て一瞬で撃墜され、首都の被害はさらに増大した。
攻撃が止むと竜は再び賽子を見下ろし、炎を吐いた。周囲は一瞬で火の海と化した。
しかし賽子は体から青い光を放ちながら炎を抜け出し、竜の金色の眼の前の宙に浮かんだ。
「あの青い光はひょっとして賽子さん?」
麻利衣は目を擦りながら食い入るように光を見つめた。竜は目の前の賽子を撃ち落とそうと炎を吐いたが、賽子は素早くそれをかわし、レーザーのような青い光を放って竜を攻撃した。
竜はそれを嫌がったが、決定的なダメージはなかった。激しい攻防が繰り返されたが、決着はなかなかつかなかった。
「賽子さん、本当に超能力者だったんだ。賽子さん、頑張って!」
麻利衣は遠くから懸命に応援した。賽子はできるだけ竜の頭より上空を飛ぶように気をつけていたが、炎をよけるために高度を落とした時に、そこを竜が狙い定めて炎を噴いたために、その炎が都心に命中し、核爆発が起きた時のような巨大な爆発を引き起こし、高層ビル群が溶け落ち、全てが吹き飛ばされた。
「危ない!」
鍬下と麻利衣は咄嗟にかがんで身を潜めた。
目も眩むような閃光の後に強烈な爆風が襲いかかり、瓦礫や車や人々を吹き飛ばしてきた。