加齢による影響と提案

・高齢者において「睡眠の質」を向上させるには、日中の活動量を増やし、入眠後に深部体温を十分に低下させるような生活習慣を取り入れることが重要です。すなわち、就眠前に深部体温が下がり過ぎないようにすることが重要で、入眠後に深部体温が下がることで深いノンレム睡眠が得られ睡眠パターンが改善します。

すなわち、深いノンレム睡眠が増えて、夜間頻尿の改善になり、健康維持、体力改善につながります。

・特に、日中に適度な運動を行うことで、入眠後の深部体温の低下を促進し、深い睡眠の時間を増やすことが考えられます。

・逆に、日中の活動量が少ない場合、入眠時からの深部体温の変動が小さくなり、浅い睡眠が続きやすいことが示唆されます。

・生体機能の衰えで、自然な水分バランスの調整が難しくなるのを考慮して、適度な運動を加え、温度勾配と水分バランスに配慮することが必要です。

「睡眠中の皮膚経路からの発汗・蒸発」、「レム睡眠からの呼気による水分蒸発」と、それに伴う「尿量」の考察(第一の仮説)

・若年者は、睡眠前半に深いノンレム睡眠の量が多く、それに伴って睡眠中の皮膚経由からの発汗・蒸発が増えます。このために、睡眠前半の尿量はかなり少なくなります。睡眠後半では、レム睡眠の呼気経由による水分蒸発が増えて、体内の水分喪失で血漿浸透圧が上昇し、ADHの分泌により尿量が減る可能性があります。

・高齢者は深いノンレム睡眠の量が少ないため睡眠中の発汗・蒸発が少なく、またレム睡眠も少ないため呼気からの水分蒸発も減るので、ADHの作動が低下して全般的に尿量が多くなる可能性があります。

このように、睡眠前半は深いノンレム睡眠の量が大きく影響し、後半はレム睡眠の量で水分蒸発の量が多少影響する可能性があります。若年者は両者の影響で尿量が減り、高齢者は両者が減少するために尿量が増える、というわけです。

結論(睡眠パターンの改善で夜間頻尿を改善すべき)

図③④のグラフは、「夜間尿量と睡眠パターンの関係」が密接であることを示しています。

そして若年者と高齢者の睡眠パターンと生理的変化の違いを明確に示しており、特に高齢者では深いノンレム睡眠の減少が夜間多尿、夜間頻尿の大きな要因となると共に、レム睡眠の減少も夜間尿量に一定の影響を及ぼすことが示唆されています。

また、深いノンレム睡眠の時の尿産生抑制メカニズムや、日中の活動量が深部体温の変動に与える影響についても実践的に示唆しています。

睡眠の質を改善する(ぐっすり眠れてさわやかな目覚め)ためには、日中の活動習慣の見直しや適度な運動を取り入れ、就眠前に深部体温が下がり過ぎないようにすることが重要です。

また、高齢者がレム睡眠を増やす方法としては、規則正しい生活で体内時計を整え、活動量を増やすことなどが有効であるとされていますが、当院の80歳以上の高齢者でも回数が0~1回を達成している患者さんが多数いる事実から推察すると、「レム睡眠の改善」もあると期待しています。

従って、規則正しく活動量を減らさない生活で睡眠パターンを若年者に近づけ、『睡眠の質』を改善することが、夜間頻尿改善と健康にとって大切です。高齢者には、それに沿った生活指導、自己管理(セルフケア)が必要です。

 

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