【前回の記事を読む】「お父さんはいないよ。妹もそう。ママは1人」…惑星の知識を誰に教わったのか聞くと、少年は急に小声になった。だがその答えはどこか変で…

ホームランとフォーマルハウト

「ユカちゃんもそうって、どういう意味かな」

「ママがいつも言うんだ、お前たちはハーフだって」

ハーフ。懐かしい言葉だ。純血ではないという意味で、確か今は、差別用語としての認識が高まっている名称のはずだ。

「お父さんが外国の方なの?」

「しらない。だっていないんだもん」

「あ、そうか。ごめんね、立ち入ったこと聞いて」

「別にいいよ、気にしてないから。それに、僕は由香とハーフでも、ちっともかまわないんだ」

やっぱりわからない。どこがおかしいのだろう。こめかみに指を立てて声を飲み込んでいると、水口さんが代わって尋ねてくれた。

「お父さんが違うのかな」

この問いかけに、ユカちゃんの小さな肩がピクリと反応した。

「うん、そう。僕たちは兄妹だけど、お父さんが違うんだって。だからハーフだってママが言ってた」

「え、ハーフってそういう意味なの? じゃあなたたち、どちらもお父さんを亡くして――あ、離婚とか?」

「しらないよ。ママもしらないって言ってたし」

「しらないって……」

わたしは心底驚き、腹も立った。そんな残酷なことを我が子に告げる母親がいるなんて信じられない。なんて無神経なんだろう。