次の週、約束どおり復習テストを持参し、やらせてみた。中一の範囲は問題ない。中二の範囲では関数が苦手なのがわかった。証明問題は正解を導き出すものの、時間がかかる。
「まずは関数からだね」
そういうと陽葵は、やっぱりそうだよねという表情をしながら天井を見上げた。
今は中三の一学期が始まったばかり。今の授業についていけるように復習は大事なのだが、お父さんが「目の前の成績は気にしない」と言った言葉を額面どおりに受け取り、中二の単元から取り組んでいく。
一次関数の問題を出してみる。
次の授業では三角形の合同の問題を出してみる。
問題を出してみては、解答する様子を凝視する。解答の過程のどこで時間がかかるのか、どこで間違っているか注意深く観察しているのだ。どうやら合同の条件は三つとも把握しているようだ。
「先生の目、恐い」
はっと我に返り、できるだけ柔和な表情をするように気をつけた。
「次は二等辺三角形だ。解いてみよう」
陽葵は再び問題に向かう。試行錯誤しながら解答を見せてくる。
「はは、引っ掛かった。これは直角三角形の条件を使うのさ」
「えぇー、そんなの教えてもらってない」
「そうかな、直角三角形の条件はぼそぼそと呟いたんだけどな」
「それってスッゴい意地悪」
陽葵はシャーペンを鼻と上唇の間に挟んで両手を後頭部にまわしながら言った。
「はは、今度からは呟きも聞き漏らさないようにね。これって集中力を養う訓練だからさ」