冤罪(えんざい)を乗り越えて

私立から公立へ転校すればいじめ問題は解決するのでは、という私の思い付きを口にする前に、それどころではない方向に事態は進んでしまっていたようだ。

お母さんは学校側とも話し合い、彼が里子になる前にいた養護施設の先生方とも相談していたと言う。

里親という立場なので児童相談所とはつながっていて、彼の状況を報告し、話し合いもしていると話を続けた。

そしてこばとにまで、なぜ相談の電話をかけたかの理由を話し始めた。それを聞いて驚いた。

いじめ、不登校問題は当初の問題点から大きく逸(そ)れて、養父母の養育のあり方が問題になってきているという。

彼も児童相談所の担当の先生と面接し、悩みを聞いてもらっていたのだが、そこで彼は学校でのいじめではなく養父母から虐待を受けていた、と話したという。

担当者はよく事実を打ち明けてくれた、と彼の勇気を褒めたというのだ。

彼は褒められたので、相談所の面談の度に養父母からの虐待の話を増やしていき、養父母のもとには帰らず、養護施設に戻っていった。

児童相談所は彼の話を全面的に信じ、養父母の話は聞いてもらえなかったと言う。