ある日、下の兄と家で将棋をしていた時、駒の意味もよく理解せず間違いを繰り返す私に苛立った兄から「美穂は《歩》だ!」と、言われたことがありました(今考えると兄も子どもだなぁ[笑])。

わからないなりにも「歩」が一番弱い駒だという認識のあった私は、心では傷つき怒りながらも笑っていました(未だに覚えているのですからよっぽど衝撃的だったのでしょう)。

「弱いと遊んでもらえない」この思いが私の気持ちの中に植えつけられていったのです。

成長とともに、私にもようやく女の子の友だちができるようになりました。しかし、一人遊びか、ほとんど兄たちとその仲間との遊びしか経験してこなかった私は、女の子と一緒に遊ぶことに慣れていませんでした。

小学校2年生の頃、クラスに中心的な女の子がいました。その子の言うことは他の女の子に影響を与えるような、カリスマ的な存在でした。

その女の子がある時、自分の好きな男の子と、もう一人クラスで目立つタイプの男の子のどちらを選ぶか?という当時の私には謎の質問をクラス中の女の子に仲間と聞いてまわっていました。

その子の好きな男の子を選べば、その女の子のグループに入れるということだったそうですが、全く意図を理解できていなかった私は空気も読めずに笑いながら「選べない」とはっきり伝えてしまったのです。

その後私はその女の子から完全に無視されるようになりました。当然他の女の子もあまり積極的に話をしてくれません。時折笑い合う相手が男の子だけになってしまった私。

一人でいるのは好きでしたが、その時は一人でいることをとても寂しく感じていました。

それから数日後、家に突然その女の子が訪ねてきました。

そして、「美穂ちゃんはいつもにこにこしているからニコちゃんって呼ぶね」と言って、無視したことを謝りにきてくれたのです。

「ニコちゃん」と呼ばれるのは微妙な気持ちでしたが、また仲良くしてもらえることが嬉しくて笑っていた私に、「美穂ちゃんの笑顔はみんなを元気にしてくれる」みたいなこと(肝心な言葉を忘れてしまいましたが)を彼女は言ってくれたのです。

「弱いと遊んでもらえない」から笑顔を作っていた私の気持ちの中に、この時初めて新鮮な風が吹いたのです。

 

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