まえがき

人はどんなに辛い状況でも最後の時がくるまでは前を向いて生きなければならない。

私は以前、こんな気持ちの中に無理に身を置いていたことがあります。

自分の人生の意味を「どこか」に求めては、出てこない答えに悶々とする日々を送っていた時期。

そんな時期に初めてカウンセリングを受けました。

「自分の状況や気持ち」をカウンセラーに話していくうちに、存在すら忘れていた涙が溢れ出し、封印されていた自分の思いが次々に湧き出てきた感覚は今でも鮮明に覚えています。

カウンセリングを受けて少し経った頃当時抱えていた問題に対して自分がずっと「他人に主軸を置いていた」ことに気がつきました。

自分の気持ちを蔑ろにしたまま、相手の気持ちや状況ばかりを考え悶々としていたことに気づいたのです。「これをしたらあの人はどう思うだろう?」「自分はこの人にとって、どんな存在意味があるのだろう?」と。

そんなふうに自分の力ではどうにもならない問題にすら、「どうすれば人を変えられるのか、状況を変えられるのか」と、自分がどうしたいのかも決められないまま「前を向かなくちゃ」という思いばかりが先行し、心の奥ではずっと苦しさを抱えながら日々を過ごしていたのです。

涙とともに湧き出た自分の感情に気がついた時から、自分を主軸にして生きることの大切さを感じるようになったのかもしれません。

相手がどんなふうに考えているのか、感じているのかを「自分から積極的に聴いてみる」ことの重要性を感じたのもこの時です。