【前回記事を読む】神の力を恐れるあまり、大切にしていた動物たちを焼いてしまった…彼は自分が正しいと思い込んでいたため、さらに…

【ノアの三人の息子(むすこ)たち】

無邪気(むじゃき)で素直(すなお)なハムのことをおいらは、大好(だいす)きだったからさ。そして、ノアがしたことを神(かみ)さまが許(ゆる)していることにもショックを受(う)けた。すると、神(かみ)さまの心の声がきこえた。

“このノアの三人の息子(むすこ)たちは、生まれながらに、三人共(とも)、性格(せいかく)も体質(たいしつ)もとても違(ちが)う。

それが、彼(かれ)らの良(よ)い所(ところ)でもあり、悪(わる)い所(ところ)でもある。君(きみ)が感(かん)じているように、人は選(えら)ばれたと思った時から、自分が〔正しい〕と思う気持(きも)ちが大きくなっていく。

それなら、その感(かん)じ方を使(つか)って、私(わたし)は、ほとんどの人たちを本当の平和(へいわ)へと導(みちび)いていくことにしたんだ。

だから、今、変(へん)だと思うことが多くあると感(かん)じるかもしれないが、ハムを呪(のろ)い、ヤペテとセムの幸(しあわ)せを願(ねが)うことを許(ゆる)しているんだよ。

それは、終(お)わりの時まで、ひみつにされなければいけないが、素直(すなお)な君(きみ)が心を痛(いた)めているようだから、教(おし)えてあげることにしたんだよ”

その神(かみ)さまからの心の声をきいて、安心(あんしん)したおいらは、そのまま眠(ねむ)ってしまった。

【ものすごく高い建物(たてもの)のそばで】

うるさい人々の声で、おいらは目覚(めざ)めた。

目の前の高い建物(たてもの)に驚(おどろ)いて思わず声を出してしまった。

すると、そばにいた低(ひく)い声の男の人が、

「おお、お前さんが、おじいさんたちが言っていた話せる花か?」

と言いながら、おいらを舐(な)めるように見つめた。

おいらは、彼(かれ)の髭(ひげ)もじゃの顔を見ながら、なぜか懐(なつ)かしく感(かん)じていた。彼(かれ)は言った。

「わしは、ノアじいさんのひ孫(まご)でニムロデという者(もの)じゃ。今、多くの人々に手伝(てつだ)ってもらって、天まで届(とど)くような塔(とう)を造(つく)っているんじゃ」

おいらはたずねた。

「どうして、そのような高い塔(とう)を造(つく)ろうと思ったの?」

彼(かれ)は、得意気(とくいげ)な表情(ひょうじょう)で言った。

「高い塔(とう)だと、どこの場所(ばしょ)からでもよく見えるし、逆(ぎゃく)に高い所(ところ)からだと、広い場所(ばしょ)のことがよく分かるから、人々を治(おさ)めやすいし、人々も、地に広がって住(す)まなくてもすむからねえ」