次(つぎ)の瞬間(しゅんかん)、人々の声でうるさかったその場が、ザワザワとした騒(さわ)がしさに変(か)わっていった。

そして、彼(かれ)は、塔(とう)の方へと走って行った。

おいらには、何が起(お)きたのか分からなかった。

そんなおいらのそばを一人の男の子が、通り過(す)ぎようとした。

おいらは彼(かれ)にたずねた。

「何かあったのかい?」

彼(かれ)は、おいらに言った。

「エッ、君(きみ)は花なのに言葉(ことば)が話せるんだね。ぼくの言葉(ことば)も分かるのかい?」

おいらは、言った。

「うん、よく分かるよ。君(きみ)の言うことだけじゃあなくて、誰(だれ)の言っていることでも、分かるよ」彼(かれ)は、目を見開(ひら)いておいらに言った。

「エッ、こんなに色々な違(ちが)う言葉(ことば)を話す人々がいるのに、誰(だれ)の言っていることも分かるなんてすごいね」

「エッ、みんな同じ言葉(ことば)を話しているから、分かってあたりまえさ」

おいらは、彼(かれ)の言っている意味(いみ)が分からなかった。

彼(かれ)は、

「さっきまではね。みんな同じ言葉(ことば)を話していたのさ。でも、今は違(ちが)うんだ。すごく沢山(たくさん)の違(ちが)う言葉(ことば)を話すようになっちゃったのさ。

大人たちは、みんな、『天まで届(とど)くような塔(とう)を造(つく)っていたから、人々の偉(えら)ぶった態度(たいど)を神(かみ)さまが、怒(おこ)っているんだ。塔(とう)は呪(のろ)われているんだ』って言って、逃(に)げていってしまったよ」

試し読み連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。

 

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