詳細は本論に譲るが、憲法で最も重要なことは誰が国の最終責任者なのかを明確にしつつ、権限を付与することである。
実際に政権を担った総理大臣や内閣、さらにはその選出母体について組織的な規定がない。〝無責任体制容認憲法〞である。
この構造的な問題が、後に日本が無謀な戦争に突入する伏線ともなった。この三つの誤りは、日本社会の根幹に深い亀裂を生じさせ、現代にも様々な歪みをもたらしている。
『失敗の本質』(中公文庫、1991)は、日本軍の失敗を組織面から分析した書であり、名著との評判も高く累計百万部を超えたとのことだが、対象はノモンハン事件以降である。
同書の著者である野中郁次郎氏は『日経』のインタビューに答えて「縦割り組織、異質性の排除、不都合情報の隠蔽」(「『失敗の本質』野中氏の遺産」)といった言葉で日本軍の組織的な欠点を指摘している。
〝官僚病〞に罹かかっていたということであるが、その萌芽は日清戦争以前の陸軍創設期にすでに見受けられる。敗戦を組織の問題に絡めて分析した点は秀悦であるが、現代的視点に欠けている。
つまり、歴史上の問題として捉えてしまっているが、官僚制は明治維新期に形成され、戦争をはさんで現代にまで引きずっている現在進行形の問題である。
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