【前回記事を読む】動物病院で「覇気が感じられない」と言われた愛猫…点滴を入れてもらったが、願いもむなしく、帰宅後に動きが……
悲しみの底で見つけたもの~猫さんが生きた八十九日間の記録
四月一日(火)
午前仕事で、その後猫さんを引き取りに二次病院に向かった。子どもも連れて行った。無事に生きて迎えられた事に安堵する。
ブースで獣医師から検査結果の説明を受ける。まずは血液検査。血球系は相変わらずの骨髄抑制状態で、白血球は2600、血小板7・1万、そして貧血を表すヘモグロビンが9・2だった。生化学検査では、高たんぱく血症は継続している。朗報もあった。腎機能を示すクレアチニン値は1・60と前回と同じで安定していた。点滴と飲水が効いているのだろうか?
そして、話は肝心の骨髄穿刺の結果に入った。まだ病理医による正式なレポートはできていないが、獣医師が顕微鏡で見たところ、骨髄中に本来は1%ほどしかないはずの形質細胞が20~30パーセントもあり、形質細胞腫で間違いないだろうとの事だった。やっぱりという思いと、最後の希望が打ち砕かれた思いが交錯した。
そして、治療法の話へと進んだ。抗がん剤の使用である。私も調べて分かっていたことだが、形質細胞腫は猫にとっては稀な病気で、これが効くと確信を持てる薬はなく、抗がん剤は悪性リンパ腫に使われている薬を使用する事が多い。つまり、本来闘う武器の無い病気なのだ。症例が少なくエビデンスの蓄積の無い疾患に訪れる悲劇である。
先生の提案は内服抗がん剤のクロラムブシルとステロイドの併用療法だ。これは人間の多発性骨髄腫に従来使われているMP療法と似たような組み合わせだろう。猫さんにこの治療を試し、効果判定を二、三週間後に行いましょうと提案された。この治療を承諾した決め手は「猫への抗がん剤治療は副作用が少ない」という医師の説明だった。
先行きは厳しいが、もしかしたら低リスクで延命が期待できるかもしれない。「施すに処置なし」でも「処置」するのが医者であるが、その思いは飼い主である私も同じだった。猫さんは生きようとしている。私もそれを手伝いたい。駄目なら少しでも病勢が弱まって良い状態で余生を送ってもらいたい。効果判定日は4月18日と決まった。
説明が終わると、猫さんの入院中の状態について聞かされた。入院中は何も口にしなかったそうだ。可哀相に……。辛い検査と病院のストレスで食べられなかったのだ。裏を返せば、どれだけ我が家を気に入ってくれていたかが分かった。うちが大好きなんだよね?
私は待合ロビーで会計を待つ間、泣きながら猫さんに謝った。ごめんね、もう二度と入院なんかさせないからね。これで私が看取る覚悟が決まった。彼女は喉を鳴らして応え、私に頭を撫でられていた。
帰宅をしても全く食事をする気配が無かった。この日食べたのはたったの14キロカロリー。二日間で口にしたのがそれだけだった。飲水は80mlだった。病院では点滴をしてくれたというが、量は不明だった。