【前回記事を読む】線路脇に野次馬がたくさん集まって、一斉にカメラをかざしている。「何が起きたんだ」と訊くと、視線の先に列車が止まっていて……

第一章 常陸の海岸を歩く

2005年に勿来から銚子までの区間を10日間で歩いた記録である。

10 銚子

電子掲示板には数多くの会議室(フォーラム)があった。その一つが山の情報を交換する場の「山のフォーラム(FYAMA)」であり、ここで出会ったのがシモンさんたちである。山登りに行ってはその時の情報をオンラインで交換していたが、時にはオフラインミーティング(通称オフミ)として、実際に集まって山に登ったり、お酒を飲んだりしていた。

私の山仲間では、山菜オフ、ネマガリ(タケ)オフ、きのこオフと称して山の恵みをいただいた。シロヤシオオフや山スキーオフとして自然に親しむイベントも実施した。しかしインターネットが急速に普及したため、2006年にはパソコン通信サービスは完全に終了したのであった。

今では私の山仲間とはインターネットを通して情報交換している。

前回の終点である日川浜に車で移動。ここから歩き始めた。これ以上の天気は望めないほどの晴天だが、気温は低めで風が冷たい。犬の散歩に来ている人がいる。われら9人は太陽に向かって砂浜を南下していく。

この浜辺には風力発電機が並び、そのプロペラが風を受けて回り、今回のコースのアクセントになっている。海岸の距離感というものは狂うようで、いくら歩いてもこの風力発電機に達しない。そしてやっと到着しても、このプロペラ塔の区域を抜け出るのがまた長く感じられた。

この頃、Fさんから風力発電機の先で待つとの電話連絡が入った。Fさんはハーブ入りのホットワインを作ってわれわれを待っていてくれた。この美味しいワインの味は忘れられない。

浜辺には、ゼラチンのようなクラゲ、流木、蛤の貝殻、小さなイルカの死骸、など様々なものが落ちている。それらを観察するのも面白い。海鳥のミユビシギやウミネコの集団も見飽きない。

銚子岬の灯台が見えてくるとそろそろ終点が近づいてきたことがわかる。どういうわけか今回はサーファーの姿がない。茨城の砂浜は浜新田で終わり、港の堤防を越えて、風力発電機のある利根川河口でゴールとなった。参加された皆さんとともに万歳と唱えて完歩したことを実感した。

その後、銚子駅に向かって歩いた。交通量の多い銚子大橋の狭い路肩を越えなければならなかったのは余計だった。