朝6時30分頃、誰もいない道を歩いていると後ろからクラクションが鳴った。車が近づき、私と並走した瞬間、運転手が手を振ってくれた。通り過ぎていく車に向かって何度もお辞儀をしていると、ハザードが4回点滅。「がんばれ」かなと解釈。ドリカムだ。さりげなく励ましてもらうと、足の痛みや坂道の苦しさを一瞬忘れられる。心から感謝する。

朝5時から6時間半も歩き続けて、ようやく七子峠に到着。辛過ぎて足は棒になっている。靴と靴下を脱いでベンチに座ってボーッとしていると、おじいさんがシニアカーに乗って自販機の後ろから現れた。頭も手も小刻みに揺れている。

目が合ったので「こんにちは」と挨拶し、そのままぼんやりしていると、おじいさんはジュースを買った後、「おねーちゃん、これで缶コーヒーでも買いなさい」と震える手で200円をくれた。

申し訳ない気持ちとありがたい気持ちが入り混じったが、遍路へのお接待は断ってはいけない。おじいさんの気持ちをありがたく受け取り、納め札を渡した。缶コーヒーがとても美味しかった。七子峠のおじいさんに元気づけられ、37番までの残り10km‌ を歩く気力が湧いてきた。

今日はどうしても37番に行かなければならない。今夜はそこの宿坊に泊まるからだ。足は棒のようで上がらない。歩けど歩けど距離が縮まらない気がして、いい歳をして恥ずかしいが涙が出てきた。ようやく山門が見え、這いつくばって入り、お参りを済ませた。高知は徳島と違い寺の数が少なく、その分、寺と寺の距離が長い。次の寺まで2~ 3日かかることも頻繁だ。

宿坊のチェックインまで時間があったので門前を散策すると、蔦に覆われた隠れ家のような喫茶店を発見。なんだかすごく惹かれて「コーヒー、飲んじゃおうかな」と中に入ると、昭和レトロで落ち着く素敵な場所だった。

 

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