【前回の記事を読む】元カノの実家を再び訪ねると、また前と同じ老婆が立っていた。老婆は少し寂しい表情を見せた後、僕を中へ入るよう促して…
第六章
「なに……しに来たの」
口調から彼女の怒りが感じられる。
「遥香さんに謝りたくて」
「帰って」
「由紀子、お客さんにその態度はよくないわ。さあ、入って」
遥香の祖母は、靴を脱いで廊下に入ると、僕を手招きする。
「ちょっと、お母さん!」
怖いが、せっかく遥香の祖母が作ってくれた機会だ。申し訳ないが、僕は甘えることにした。
「失礼します」
玄関から廊下に上がろうとすると、鬼のような形相をした由紀子さんがこちらを向く。
「早くいらっしゃい」
リビングの方から、姿は見えなくても遥香の祖母の呼ぶ声が聞こえる。
「お母さんの気が済んだら、とっとと帰って」
由紀子さんは玄関に佇む僕を睨みつけると、リビングに入っていった。
「お邪魔します」
「そんなに堅くならないでちょうだい」
遥香の祖母は、この前来たときと同様、せっせと茶やお菓子の準備をしている。