おどろいて逃げまどふ乙女機織りの
梭に陰を突き刺して死にき
*梭 機織り機で、張られた縦糸に横糸を通す道具、尖った船の形をしている。
乱暴におびえをののく天照
天の岩屋の戸を閉めて籠る
天・地に光は失せて常闇に
草木は萎れて小鳥も鳴かず
私たちの太陽(アマテラス)はどこへ行ったのだ?
日本人の原像がまざまざとよみがえる。
日本最古の史書『古事記』に登場する神々の世界を詠う、他に類を見ない叙事的な歌集。叙情的な文語と明快な口語を絶妙に組み合わせながら、神々の悲哀と愛憎をつぶさに表現する。
日本の神々は、民と交わり、民とともに働き、人間同様死にゆく存在でもある。
王国の成立と興亡の歴史が秘められた『古事記』の世界を、人々の悲しみと喜びを歌で再現。日本人の原点の物語を連載でお届けします。
おどろいて逃げまどふ乙女機織りの
梭に陰を突き刺して死にき
*梭 機織り機で、張られた縦糸に横糸を通す道具、尖った船の形をしている。
乱暴におびえをののく天照
天の岩屋の戸を閉めて籠る
天・地に光は失せて常闇に
草木は萎れて小鳥も鳴かず