俳句・短歌 歴史・地理 歌集 古事記 2020.10.04 歌集「古事記物語・異聞」より三首 歌集 古事記物語・異聞 【第19回】 松下 正樹 私たちの太陽(アマテラス)はどこへ行ったのだ? 日本人の原像がまざまざとよみがえる。 日本最古の史書『古事記』に登場する神々の世界を詠う、他に類を見ない叙事的な歌集。叙情的な文語と明快な口語を絶妙に組み合わせながら、神々の悲哀と愛憎をつぶさに表現する。 日本の神々は、民と交わり、民とともに働き、人間同様死にゆく存在でもある。 王国の成立と興亡の歴史が秘められた『古事記』の世界を、人々の悲しみと喜びを歌で再現。日本人の原点の物語を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 須佐之男の乱暴やまず清らかな 高天の原は穢されたり 天照は神々のお召しになる緋の衣 みめよき乙女に織らせていた 須佐之男は馬の生皮ひき剝がし 乙女をめがけて投げつける
小説 『再愛なる聖槍[ミステリーの日ピックアップ]』 【新連載】 由野 寿和 クリスマスイヴ、5年前に別れた妻子と遊園地。娘にプレゼントを用意したが、冷め切った元妻から業務連絡のような電話が来て… かつてイエス・キリストは反逆者とされ、ゴルゴダの丘で磔はりつけにされた。その話には続きがある。公開処刑の直後、一人の処刑人が十字架にかけられた男が死んだか確かめるため、自らの持っていた槍で罪人の脇腹を刺した。その際イエス・キリストの血液が目に入り、処刑人の視力は回復したのだという。その槍は『聖(せい)槍(そう)』と呼ばれ、神の血に触れた聖(せい)遺物(いぶつ)として大きく讃えられた。奇跡の逸話(…
小説 『弔いの回想録』 【第5回】 松田 浩一 戦地帰りの男と割烹料理屋の店主が口論。ついには「この包丁で貴様を刺し殺さないと気が収まらない!」と、包丁を持ち出し… 昭和三十三年、私が幼い時に、居酒屋トラヤの親父がカーバイドランプを用意している時「おじさん何しているの?」と話しかけると、「ランプに燃料を入れているんだよ!」「石ころが燃料?」と尋ねると、「不思議だろう。この石に水滴が垂れると燃えるんだよ!」「へー、面白い!」トラヤの親父がランプの蓋を開けて、カーバイドをランプの容器の中に入れた。私は「変な臭いがする」トラヤの親父は「この石は、触ると臭いが手に移…