俳句・短歌 歴史・地理 歌集 古事記 2020.10.11 歌集「古事記物語・異聞」より三首 歌集 古事記物語・異聞 【第21回】 松下 正樹 私たちの太陽(アマテラス)はどこへ行ったのだ? 日本人の原像がまざまざとよみがえる。 日本最古の史書『古事記』に登場する神々の世界を詠う、他に類を見ない叙事的な歌集。叙情的な文語と明快な口語を絶妙に組み合わせながら、神々の悲哀と愛憎をつぶさに表現する。 日本の神々は、民と交わり、民とともに働き、人間同様死にゆく存在でもある。 王国の成立と興亡の歴史が秘められた『古事記』の世界を、人々の悲しみと喜びを歌で再現。日本人の原点の物語を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 あかねさす日もいまはなし常闇に 悪霊が満ちばっこしたり 神々は闇をうれひて集ひたり 安の河原に会議をもよほす *安の河原 天の安の河原。 岩屋より戻られるにはいかにせん さまざまな策が練りあげられる
エッセイ 『プリン騒動[人気連載ピックアップ]』 【新連載】 風間 恵子 「そんなプリンなんか作ってないで、早くメシのしたくしろ!」台所で一挙手一投足に怒り狂う義父。言葉の暴力が鉛となって心臓を突き抜けた。 ある晩のことだった。三人で、夕食のしたくをしていた。この三人と言うのは、舅(しゅうと)・姑(しゅうとめ)・嫁すなわち、私の事である。台所は女の神聖な場所と考えられているのではないか。しかし、この家では、舅が当たり前のように立つことが多い。自分が調理したものは自慢をするが、人の作った料理は決して、美味しいとは言わない。逆に貶す事に喜びを感じるタイプである。野菜の切り方から、味つけまでを一つ一つ指摘…
小説 『我輩は清掃人じゃ』 【第11回】 ホモ・サピエンス 屋内から炎が上がる中、ブロック塀をやり過ごし、玄関を開けて中に入ると「助けて」という女性の声が、はっきりと聞こえてきて… 太っているために体重もある。さほどの腕力もないはずじゃが、何物にも負けぬ人生じゃったために、これしきで敗北しておられんのじゃ。両腕様よ、力を与えたまえ。思いっきり伸ばし思いっきり引く。繰り返し、三度目でようやく上半身がブロック塀を超えることに成功し、いちおうの汗は拭った。けれども、お次は、腰を庭側で座り直し、両足までブロック塀を乗り越えなければならない。最後に飛び降りなければならないのじゃ。二メ…