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最後に聞き取りに向かった山口知佳は服飾デザインの専門学校に通う22歳の女性だ。俺が訪ねた時、彼女は自室の机で服のデザイン画を描いていた。玄関のインターホンを押したとき、インターホンスピーカーから本人の声で
「開いているのでどうぞ」
と言ってきた。俺は女性の一人暮らしにしては不用心だと思いながら玄関のドアを開けた。そして部屋の奥に向かっていつもの口上を述べた。
「城東警察署刑事、小林と言います。山口さんの例の相談の件で幾つか確認したいことがありまして……今、お時間よろしいでしょうか?」
山口知佳は作画の途中だったようで、顔を上げると
「どうぞ、上がってください。お茶を淹れますから……」
俺はその口振りから余裕めいたものを感じた。
『先に聞き取りした二人とは違うな?』
俺は靴を脱いで部屋に上がることにした。部屋に入ると山口知佳が
「コーヒーでいいですか?」
と聞いてきたので、反射的に
「ありがとうございます」
と答えた。山口知佳の部屋の壁には服のデザイン画が数枚貼られていた。俺がデザイン画をなんとなく眺めていると山口知佳が
「刑事さん。座ってください。今、コーヒー淹れます」
と彼女は立ち上がりキッチンへ向かって行った。俺は小さなテーブルの近くにあぐらをかいて座った。キッチンでお湯を沸かしている彼女に声をかける。
「いくら刑事を名乗っていても、見ず知らずの男を部屋に上げるのは不用心すぎるな。玄関のドアに鍵をかけないのも感心しない」
山口知佳は答える。
「会ったことがないだけでしょ? 実は可奈ちゃんと彩ちゃんから『もうすぐ城東警察署の刑事が訪ねてくるから』ってメッセージアプリで連絡があったんです」
俺は頭を掻いた。そして用件をさっさと済ましてしまおうと
「早速で悪いんだが聞きたいことがあるんだ。君たちの相談を受けて現場に行ったんだが……」
次回更新は6月22日(月)、16時30分の予定です。
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