第三項 人間の愚悪性

(一)愚者と賢者(5)

この世では自分が賢者だ、頭がよいと自負する人は多い。

本当の賢者とは、自らをおろかであると思えた人のことを言う。

この世は相対有限であり、賢者も愚者もみな浅はかなのだ。

ブッダは次のように説く。

「もしも愚者がみずから愚であると考えれば、すなわち賢者である。

愚者でありながら、しかもみずから賢者だと思う者こそ、『愚者』だと言われる」『ブッダの真理のことば感興のことば』(4)

まさに真理をついた言葉ではないだろうか。

しかし、自らのおろかさを自覚できる人は、それほどいないであろう。わたしもそうだ。

だから愚者なのだ。おろかなのではない。愚者なのだ。


(1) 村上速水『親鸞教義の研究』永田文昌堂 一九六八

(2) 時実利彦『人間であること』岩波新書 一九七〇

(3) 教学伝道研究センター編『浄土真宗聖典』註釈版第二版 本願寺出版社 二〇〇四

(4) 中村元訳『ブッダの真理のことば感興のことば』岩波文庫 一九七八

(5) 友松圓諦『法句経講義』講談社学術文庫 一九八一

 

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