執筆にあたって

一生勉強とは、生涯学習だ。

それは真実に生きることを学ぶことではないだろうか。

真実に生きるとは、真実をよりどころとして生きること。

だからこそ、わたしは、その解決を被教育者(ひきょういくしゃ)に求めたのだった。

被教育者とは何か? あまり聞き慣れない言葉かもしれない。

教育をする者は教育者だが、教育を被(こうむ)る者を被教育者と言う。

教育者が教育される者になることを含む。

字句的には、被害者や被保険者などと同じような使い方だ。

被教育者となる意義は、住岡夜晃(すみおかやこう)の『讃嘆の詩』(1)の中から引用させてもらった。

「教官たちよ、人類の教師となれ。どうしたら人類の教師になれるか。

真実一人の師を持って、一生を被教育者になることである」

また、同じような意味の言葉は、学生時代に恩師からも教えていただいた。

それは、「一生勉強しなさい」であった。

人間は一生勉強しなければならない。一生勉強とは、生涯学習だ。

生涯学習は人が人間と成ることだとすれば、リベラルアーツ(Liberal Arts)はそのための学びだ。それが人間学の探究でもあると考える。

被教育者となるとは、いのちの完成(完命)の学びであると言える。

この世に生を受けてから七十年、そろそろ人生の完命を意識せざるを得ない歳になった。