こういった中で、地域への医師派遣と地域医療の保全をどのように図るかということが問題となる。

地域への医師派遣には、社会のニーズに応えられるプライマリ・ケア医、専門医を地域へ派遣することのみならず、地域での医師確保と住民への十分な医療を提供することである。

大学病院においては、後期臨床研修中に地域への医師派遣を行い、その際、ローテートにより医師派遣の環境整備を行う必要がある。

この後期研修医のローテート研修には、地方自治体、地域医療機関との密なる連携と地域の特性と特色を組み込んだ柔軟な研修プログラムを構築すべきであり、その充実にはITの活用が必要である。

また、実際の地域医療での診療実績が、将来のキャリア形成として十分評価されるような研修内容とすべきである。

こういった中で、医師派遣に対し大学側がプログラムディレクターとしての中心的役割を担い、また、後期臨床研修における医師派遣はそれぞれの領域の医師の研鑽の一環として捉え、大学と地域機関病院とが連携し養成プログラムを構築することが期待された。

しかしこの現時点で実行はきわめて不十分である(図10)。

医学研究の低迷と臨床系大学院の充実

医学研究の低迷と臨床系大学院の充実は極めて重要な課題である。

臨床系大学院カリキュラムでは、大学院生が後期臨床研修中にいつ臨床系大学院へ入学し、その一定の研修期間を臨床系大学院の在籍期間へ算入され得るかということが問題となる。

そのためには、後期臨床研修中に臨床研究期間を明確に設定する必要がある。

これにより臨床系大学院が目的としている地域に役立つ高度医療専門医養成に不可欠な研究思考の養成、さらには高度先進医療を発展させるための臨床的研究能力の育成を図るべく、プログラムを構築することが初めて可能となる。

将来の医学研究の基礎を作るには、地域大学病院での臨床研究(translational research)を行う人材の養成が不可欠である。