【前回の記事を読む】医大2~4年次には、臨床実習前に求められる医学と人文社会科学の履修と共用試験の必修化が重要。そのために必要なのは…
第I章 大学・大学病院改革の基本路線
1―1 医学教育改革のグランドデザイン――医師養成の導入と基本的骨格
全国大学共通の卒業時到達目標の設定
こういった中で2つの改革案の実施が実現した。その1つは、全国の大学共通の卒業時到達目標客観的臨床能力試験(OSCE卒業時モデル・コア・カリキュラムの設定)である。
また、臨床実習でどのような能力の獲得を学生に求めるのかを明確にするため、後期OSCE(Advanced OSCE)も卒業時OSCEとして取り入れるべきである。残念ながら我が国の臨床実習レベルは北米と比較し、明らかに、遥かに劣っている。卒業時OSCEの導入などによりこれらの点を早急に改善する必要がある。
その2は全国の大学共通の卒業時到達目標の設定で、学生に求められるまたは習得すべき診療参加型医行為を明示することが可能となったことである。さらにモデル・コア・カリキュラムの卒業時検定に記載される能力を明確にすることにより卒業前の学生の地域医療能力を担保することができるようになった。
こういった中で卒後初期臨床研修との到達目標の重複も回避することができ、ひいては卒後地域医療臨床研修のスリム化にもつながった。
従来医学生がどこまで医行為をおこなうことができるかについては、色々と議論されているが、はっきりとした明確な定義が残念ながらなされていなかった。
初期に前川試案というものが出たが、10年前の医療体制と現在の地域に根ざした医療体制とではかなり異なっており、国民の医療に対する感情も十分考えてこれらを再度検証し、議論し、学生に許容する医行為を改めて明示する必要があった。
こういった卒業時到達目標を十分機能させるためには、全国共通の指導医の養成と確保が必要であり、指導医の教育・研究・診療活動の多忙化を防ぐために個々の指導医に対するこれら活動の割合をきちんと明確化し、これに基づき指導医のモチベーションを高める必要がある(図9)。